安田 菜津紀 写真展 「それでも海で」-陸前高田 潮騒と共に
2011年3月、陸前高田市。累々と積み重なる瓦礫、破壊された大地を前に、ただ茫然と立ち尽くした。「さぞかし人は海を恨むだろう」。瞬時にそう思ったのを今でも覚えている。
あれから 2年が経った。それでも浜人は、海に戻ってきた。ときには照りつける太陽の下で、ときには早朝の寒空の下で、漁師さんが積み重ねてきた苦労が、海の恵みとして再び届けられる。それぞれが抱いてきた2年半の想いがいっぱいに詰まった海の幸は、宝石のように美しく見えた。
瓦礫の残った海の底、流されてしまった船や漁具、2年経っても尚、乗り越えなければならないものを数えたらきりがない。それでも海の恵みを、毎日陸へと届け続ける、そんな漁師さんたちの背中を見られる時間はかけがえのないものだ。 この地が育んできた宝物を、少しでも多くの人に知り、そして触れてほしい。そんな願いを込めながら、シャッターを切った。
■期間
東京:2013年10月3日(木)~10月16日(水)
大阪:2013年10月24日(木)~11月6日(水)