大友克洋GENGA展
39年の巨大な足跡をまとめた震災チャリティー企画展。
今回の原画展は二つの大きな流れが重なることによって実現された。ひとつは本年1月に大友克洋の20年ぶりの画集『KABA2』が発売となることを節目とし、その巨大な足跡をまとめてみようという機運が高まったことだ。大友克洋の歩みは一人の作家の個人史であると同時に “漫画”という表現の可能性を拡張してきた歴史でもある。そこには“漫画”というひとつの表現が発信源となって映像や立体物にまで展開し、音楽、工業デザイン、建築、ファッションなど、あらゆる業界へ影響を与えてきた文化的な波及力がある。そのような、他の表現とは代えがたい“漫画の力”を今一度再認識し、秋葉原という場所から世界に向けて発信したいと考えた。 もうひとつは、昨年の3月11日に起こった東日本大震災に対し、大友克洋がさまざまなチャリティー企画に参加しながらも、自らが主体となって漫画家に何ができるのかを考えた結果としてたどり着いた震災チャリティー企画展としての流れである。これは、大友克洋自身が被災地のひとつである宮城県出身者だということとも無関係ではない。今回の展示会の来場者収益の30%は被災地復興の一助として寄付される。